サイカケル5活動報告

 3月15日(水)浦和で行われた「薬剤師のための英語論文の読み方を学ぶ会・サイカケル5」を主催しつつ参加させていただきました!
 今回は、なんと横浜から学生の方が参加され、平均年齢を引き下げてくださいました(笑)この場を借りて御礼申し上げます。


 肝心の論文は、前回に引き続き「運動と記憶」に関連したテーマ。運動することで、脳の海馬が大きくなったり、記憶する力が上がるという、仕事に(自分にも?)生かしやすい内容でした。

Exercise training increases size of hippocampus and improves memory.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Feb; 108(7): 3017-3022. (PMID: 21282661)
(こちらから全文が読めます)
http://www.pnas.org/content/108/7/3017.long

 本当にポイントだけ申し上げると、有酸素運動を1日10分、週3日から始めて、1週間ごとに5分ずつ時間を長くしていく。そして最終的に1日40分、週3日の有酸素運動を1年間続けることで、記憶を司る海馬が大きくなり、空間認識の力も上がるとのことです。有酸素運動については、「運動強度」や「カルボーネンの式」などで調べていただくと、目標とする心拍数が分かります。年齢によっても違ってくるようなので、ご興味のある方は是非、調べてみてください。
 そして、大事なことですが、この論文の被験者は65歳から80歳の方々。自分も成長期はとうに終わりましたが、さらに上の年齢になっても取り組み次第で身体を向上させていけるということにとても勇気づけられました。この点、仕事にも生かしていきたいと思います。
 余談ですが、写真は海馬の絵(笑)今回は少人数だったこともあり、雑学を交えたとてもアットホームな会になりました。自分も、これで5回参加したことになるのですが、いつもとても勉強になっており、また色々な方にお会いできてとても幸せです。ご参加いただいた皆様、そしていつも講師を務めてくださる工藤さん、本当にありがとうございます。
 最後に、少しだけフライングで告知させていただくと、次回は4月23日(日)午前、サイカケルと統計学勉強会の2本柱になります!また、皆さまと勉強させていただけるのを楽しみにしております。

青年部会員  藤野 智子

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薬剤師のための論文の読み方を学ぶ会「サイケケル4」および「薬剤師のための基礎統計講座」活動報告

平成29年2月19日(日)13:00〜16:30
場所:レンタルスペースホーリィ浦和

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「薬剤師のための基礎統計講座」では代表値について学びました。
まず、統計学に入る前にグラフ、数字は批判的に読み解いていくことが必要であることを、グラフのトリック、数字のマジックとして紹介していただきました。グラフは一つのデータから作成者の意図で見る側の意識が大きく変わること、数字はわかりやすいメジャーである反面誤魔化すこともできてしまうということをわかりやすく解説していただきました。

代表値はデータの特徴をとらえるための統計量の総称であり、代表的なものに算術平均値、中央値、最小値、最大値、最頻値があります。それぞれを実際のデータで確認し、代表値1つではデータを端的には表すことができないということを学びました。
次回はこれらのデータ群を区別するために必要な統計量である偏差についてお話しくださるとのことです。

演習として、ヒストグラムというデータの分布が視覚的にわかる統計グラフをExcelで書いてみました。そのデータを用いて、最大値、最小値をExcelで表記する方法を教えていただきました。

「サイカケル4」では米国睡眠医学会のジャーナル「SLEEP」に2013年に掲載された
Regular Exercise Prevents Sleep Deprivation Associated Impairment of Long-Term Memory and Synaptic Plasticity in The CA1 Area of the Hippocampus .
SLEEP.2013May;36(5):751-61.(PMID23633758)
を取り上げました。

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今まで睡眠不足により長期記憶の低下が起こり、それに海馬が関係しているだろうといわれてきました。この論文ではラットの長期記憶を確認する行動実験、海馬のCA1エリアにおける電気的刺激の確認、海馬においてシナプスの可塑性が起こった時に発現するタンパク(BDNF、CaMKⅣ、MAPK/ERK、P-CREB)の確認の3つの方法で検証しています。実験のデータを見る際には「基礎統計講座」で学んだ平均値がどのように表されているのかを確認しながら論文を読み進めました。
結論として、睡眠不足による記憶低下は運動を行うことで改善できること、また、それに海馬が大きく関わっていることを報告しています。

2010年以降、運動による記憶力向上や認知症予防の報告が多くなっています。この論文は運動による記憶力の向上に海馬が大きく関わり、高齢や認知症による記憶力の低下を運動により取り戻せる可能性があることを示唆しています。

以下のURLから論文の全文を読めます。
https://academic.oup.com/sleep/article-lookup/doi/10.5665/sleep.2642

次回は運動と記憶力の関係について認知症を含めた話に発展するとのことです。

いずれの講座も次回が楽しみです。

青年部会員 上妻加奈(かくの木薬局)

「臨床検査値から処方をどうみるのか?」・SGD「臨床検査値を日常業務に活用するには」活動報告

平成29年2月5日(日) 13:00 ~ 16:00

 今回は講師にどんぐり工房の 菅野 彊 先生、ファシリテーターとして 津山 俊子 先生をお招きして講演会を開催しました。講演会には青年部会員、非会員、病院薬剤師、薬局薬剤師問わず、50名以上と大変多くの方々に参加していただきました。

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 菅野先生のご講演では、検査値から腎、肝機能の推測から始まり、検査値と処方内容から副作用を考えること、検査値から薬剤の投与設計といった内容をお聞きしました。
 まず印象に残ったことは、尿中未変化体排泄率や油水分配係数から腎排泄型または肝消失型が判断でき、それらの数値は添付文書やインタビューフォームに記載されているということでした。今後添付文書はしっかり読み、業務に役立てたいと思いました。
 もう1つとても印象的だったのはHbA1cから過去の血糖値を知る方法があるということです。約2か月前の血糖値を「推定平均血糖値=28.7×HbA1c(%)-46.7」から求めることができます。ですがだいたいの平均血糖値は「(HbA1c-2)×30」という簡単な計算で推測することができるということに驚きました。平均血糖値を継時的に追えてない場合でもこの計算でHbA1cから推測することにより、患者さんの状態を評価する一つのツールとして活用していきたいと思いました。

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 講演を聞いた後は参加した方々でスモールグループディスカッションを行いました。SGDの内容は実際の症例をもとに、検査値と処方薬について問題点はどこか、問題点についてどうしたらいいか、を考えました。ランダムに9つのグループに分かれ、1つのグループ内には薬局薬剤師、病院薬剤師が混在していました。違う環境で働く方々と共に意見を出し合うことで、着眼点の違いや考え方の違いに気づかされ、とても刺激を受けることができました。

 講演後は菅野先生、津山先生を交えて懇親会を行いました。楽しく様々な話をする中で、各々の薬局の雰囲気やコミュニケーションの取り方の話がありました。地域が異なるとコミュニケーションの取り方も異なり、患者さんとの接し方にも地域の個性があると気づくことができました。そんな話を聴く中で、私も様々な地域の雰囲気を感じてみたいと思いました。

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 菅野先生、津山先生、今回は大変貴重なご講演ありがとうございました。また、多くの皆さんに参加していただき、ありがとうございます。今後も勉強や交流会にも多くの方に参加していただけたらと思います。

青年部会員 若林滉貴(秩父郡市薬剤師会)

スキー・スノーボード交流会報告

平成29年1月29日 9:00-16:00
場所:ノルン水上スキー場

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今回はノルン水上スキー場にて、スキー・スノーボード交流会を開催しました。途中集合した駒寄パーキングでは群馬名物の空っ風が冷たく吹き付け、行先を温泉に替えたい気もしましたが、スキー場では天候に恵まれ1枚脱ぎたいくらいの陽気でした。
青年部会員だけでなく家族ぐるみでの参加もあり、また初心者から上級者が揃い、教え合い助け合いながら楽しい時間を共有することができたかと思います。帰路では、日頃の運動不足がたたり、右足が攣りそうなのと格闘しながら渋滞を切り抜け(私だけ?)、無事帰宅となりました。

多くの皆さんに参加していただくことで、新たな出会い、気付きが得られることと思いますので、上手い下手など気にせず遠慮しないで是非いろいろなイベントに参加していただければと思っています。

報告者 埼玉県薬剤師会青年部 田中忠光

「薬剤師のための論文の読み方を学ぶ会 サイカケル3」 活動報告

平成29年1月17日(火) 19:30~21:00
場所:レンタルスペースホーリィ浦和

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Variations in Pill Appearance of Antiepileptic Drugs and the Risk of Nonadherence.

今回のサイカケルでは、2013年にハーバード大学の研究グループが発表した「患者さんの服薬心理」に関する論文を扱いました。
ジェネリック医薬品は先発と生物学的同等性はありますが、色と形は一致していないので、患者さんを混乱させ、アドヒアランス低下を招くかもしれません。
2002.1~2006.12における抗てんかん薬の調査で、投与された薬は37の色と、4の形がありました。
結論としては特に薬の色が変わるとノンアドヒアランスがかなり増えることがわかりました。これはとても重要なことと考えられます。
ジェネリックの外観の自由な変化を許可する現在の行政政策を考え直すべきではないかとも述べています。私たちがジェネリックに変更する時は、新たな配慮が必要かもしれません。

JAMA Intern Med. 2013 ; 173(3): 202-208.
Published online December 31.2012.
doi:10.1001/2013.jamainternmed.997

以下のURLから論文の全文を読めます。
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/1487287

Exclusive breastfeeding duration and infant infection.
Eur J Clin Nutr. 2016 Dec;70(12):1420-1427.doi: 10.1038/ejcn.2016.135.Epub 2016 Jul27.

母乳にはIgAが含まれていて、母乳育児がいいことは知っていますが、ではいつまで飲ませたらよいのでしょうか。
6か月までに母乳育児をやめると、胸部の感染症は19% のリスク上昇、下痢は66%のリスク上昇という結果でした。母乳育児は6か月までは続けたほうがよい(離乳食との併用可)と、具体的なアドバイスができるでしょう。

Nicotinamide benefits both mother and pups in two contrasting mouse models of preeclampsia.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Nov 22;113(47):13450-13455.Epub 2016 Nov 7.

ニコチン酸アミド(ビタミンB3)が血圧を下げ、腎臓の血管内皮障害を改善し、妊娠高血圧腎症に効果があることがわかりました。(モデルマウスでの解析)
今後、ヒトへ応用されていくかもしれません。

報告者 埼玉県薬剤師会青年部 星知子

埼玉県薬剤師会青年部『望年会』の報告

平成28年12月22日(木)、埼玉県薬剤師会青年部『望年会』を開かせて頂いたことをご報告致します。

1年を振り返り、そして新しい1年に望むため会員12名、非会員1名の方に参加して頂きとり行うこととなりました。開催時間が平日の業務後にもかかわらず、多くの皆様に参加して頂き誠にありがとうございました。会場は熊谷市にあるお店で開かせて頂きました。

ここで『望年会』と記載していることについて触れさせて頂きます。通常は忘年会と書かれますが、会員の田島敬一前部会長より「新しい1年に向けた会だから『望年会』という字を使っているという話を聞いた」と伺い、勝手ながら『望年会』という言葉を使わせて頂きました。

望年会は小林悟部会長のあいさつで始まり、その後は食事をしながら様々な話をされていました。
私は調剤薬局に勤務しているのですが、青年部の病院薬剤師の方に病院のお話を聞く事が出来ました。自分と違う環境の話を聞かせて頂き、業務内容や他職種とのかかわりなどたくさんの刺激を受けました。その他にも実習の話、趣味の話、人工知能の話などなど・・・本当に好きな話をし、大変にぎやかで楽しい会となりました。最初から最後まで笑いの絶えない会で、あっという間に時間が経ってしまいました。

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この度は私が望年会の幹事をさせて頂きました。何をしていいか全く分からない状態でしたが、青年部の先輩方にやさしく教えて頂き幹事をすることが出来ました。自分の周りにやさしく頼もしい方々がいることにとても感謝し、また心強く感じています。ありがとうございました。

今後も様々な機会で会員・非会員問わずお会いできることを楽しみにしております。
皆様の青年部のイベントへの参加をお待ちしております。

青年部会員 三橋愛美(秩父郡市薬剤師会)

薬剤師のための論文の読み方を学ぶ会「サイカケル2」活動報告

12月4日に第二回サイカケルを浦和で開催いたしました。

今回は日曜の昼ということもあり参加者は6名となりましたが、非会員の方の参加もあり活動の広がりを感じつつあります。

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さて、今回取り上げた論文の紹介です。

NLRX1 prevents mitochondrial induced apoptosis and enhances macrophage antiviral immunity by interacting with influenza virus PB1-F2 protein.
(Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 May 20;111(20):E2110-9.
DOI: 10.1073/pnas.1322118111. Epub 2014 May 5.)

この論文ではインフルエンザウイルスと免疫の攻防のメカニズムに関する知見を報告しています。タイトルがたいへん長いのですが、このタイトルに言いたいことがすべて詰まっており、丁寧で明確なデータに裏付けされた結論を上手く言い表しています。

これまで、インフルエンザウイルスが有するPB1-F2というタンパク質の働きにより宿主細胞のアポトーシス(生理的な死)が引き起こされ、ウイルス増殖、感染拡大と進んでいくことが知られていました。このアポトーシスを妨げようと自然免疫機構が働くのですが、実はそのメカニズムは明らかになっていませんでした。

著者らはNLRX1というタンパク質が宿主細胞の中でウイルス増殖を感知し、PB1-F2と直接結合してアポトーシスを妨げることを証明しました。NLRX1の存在下ではウイルスの増殖や細胞の炎症反応、好中球の増加などが抑制され、非存在下では感染から3日目に急激なウイルス増殖、6日目には明らかな呼吸機能の低下などが観察されました。

以上の結論を証明するには専門的知識が必要とされるような気がして、初心者には難解な論文だろうと思われるかもしれません。しかしどんな論文でもまずはタイトルの中の動詞に着目して読み解いていくことで、内容を単純化し理解を深めることができます。また、よくわからない単語は出てきてもそのままにしておいて大丈夫、重要な単語であればあとで必ず説明があるからです。こうしてタイトルが理解できたら次は、どうやったら自分たちの求める結論を証明できるのかを考えて実験を組み立てます。この論文では、関与するタンパク質の存在条件を一つずつ変えて実験を繰り返し、結論の証明を成立させています。

組み立てた実験から私達が求める結果、爽快な答えを得ていく感覚は論文を読み解くことの醍醐味です。また、ウイルス増殖が3日目で爆発的に起こることから、抗インフルエンザ薬の投与が48時間以内と定義されている理由が理解でき、患者に説明するときにも役立つという意見も挙げられました。

このようにいくつかのルールを押さえられれば、あとは繰り返し論文に触れることで着実にスキルアップし、自分でも読めそう!と感じていただける講義内容となっています。論文を自分で読むにはまだ抵抗のある方、読みたい論文はあるけれどどうやって読んだらよいかわからない方、仲間と一緒にまずは一歩を踏み出してみませんか?

以下、今回の論文のサイトリンクです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24799673

今後の開催についても追ってこのブログを通して広報致します。まだ駆け出しの活動ではありますが、その分、皆さんのご意見を柔軟に取り入れていきたいと考えています。
では次回の告知も楽しみにしていてください!

報告者 埼玉医科大学国際医療センター 広上由季