薬剤師のための論文の読み方を学ぶ会「サイカケル2」活動報告

12月4日に第二回サイカケルを浦和で開催いたしました。

今回は日曜の昼ということもあり参加者は6名となりましたが、非会員の方の参加もあり活動の広がりを感じつつあります。

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さて、今回取り上げた論文の紹介です。

NLRX1 prevents mitochondrial induced apoptosis and enhances macrophage antiviral immunity by interacting with influenza virus PB1-F2 protein.
(Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 May 20;111(20):E2110-9.
DOI: 10.1073/pnas.1322118111. Epub 2014 May 5.)

この論文ではインフルエンザウイルスと免疫の攻防のメカニズムに関する知見を報告しています。タイトルがたいへん長いのですが、このタイトルに言いたいことがすべて詰まっており、丁寧で明確なデータに裏付けされた結論を上手く言い表しています。

これまで、インフルエンザウイルスが有するPB1-F2というタンパク質の働きにより宿主細胞のアポトーシス(生理的な死)が引き起こされ、ウイルス増殖、感染拡大と進んでいくことが知られていました。このアポトーシスを妨げようと自然免疫機構が働くのですが、実はそのメカニズムは明らかになっていませんでした。

著者らはNLRX1というタンパク質が宿主細胞の中でウイルス増殖を感知し、PB1-F2と直接結合してアポトーシスを妨げることを証明しました。NLRX1の存在下ではウイルスの増殖や細胞の炎症反応、好中球の増加などが抑制され、非存在下では感染から3日目に急激なウイルス増殖、6日目には明らかな呼吸機能の低下などが観察されました。

以上の結論を証明するには専門的知識が必要とされるような気がして、初心者には難解な論文だろうと思われるかもしれません。しかしどんな論文でもまずはタイトルの中の動詞に着目して読み解いていくことで、内容を単純化し理解を深めることができます。また、よくわからない単語は出てきてもそのままにしておいて大丈夫、重要な単語であればあとで必ず説明があるからです。こうしてタイトルが理解できたら次は、どうやったら自分たちの求める結論を証明できるのかを考えて実験を組み立てます。この論文では、関与するタンパク質の存在条件を一つずつ変えて実験を繰り返し、結論の証明を成立させています。

組み立てた実験から私達が求める結果、爽快な答えを得ていく感覚は論文を読み解くことの醍醐味です。また、ウイルス増殖が3日目で爆発的に起こることから、抗インフルエンザ薬の投与が48時間以内と定義されている理由が理解でき、患者に説明するときにも役立つという意見も挙げられました。

このようにいくつかのルールを押さえられれば、あとは繰り返し論文に触れることで着実にスキルアップし、自分でも読めそう!と感じていただける講義内容となっています。論文を自分で読むにはまだ抵抗のある方、読みたい論文はあるけれどどうやって読んだらよいかわからない方、仲間と一緒にまずは一歩を踏み出してみませんか?

以下、今回の論文のサイトリンクです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24799673

今後の開催についても追ってこのブログを通して広報致します。まだ駆け出しの活動ではありますが、その分、皆さんのご意見を柔軟に取り入れていきたいと考えています。
では次回の告知も楽しみにしていてください!

報告者 埼玉医科大学国際医療センター 広上由季

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